式神の火穂。 神社人

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式神の火穂

--- 穂〜2 「はぁ〜〜そうは言ってもなぁ・・・・」 深い深いため息をつきつつ 俺は少女を作り上げた尼のもとへ向かっていた。 ひとまず会う必要があるからだ・・・ それにしても俺もリナに、甘いよなぁ・・・・ リナには念のため、式神をつけてきたがどうか吹き飛ばしたりしていませんようにと・・・ ここか。 あの少女を作り上げた尼がいるのは。 どうも術の組み合わせを間違えたようだな・・・・・ その寺の周りには術の名残が残っていた。 俺が寺に立ち入るとあの子と面影が似ている女性があらわれた。 「一体何の用だい?」 「俺は安部晴明・・・・あんたが使った術のことで話に来たんだが・・・」 「あんたが!?あの、安部晴明・・・」 俺は寺に立ち入って女性の話を聞いていた。 術の方法に案の定間違いがあったし・・・・・ 「しかし、何でまた自分の子供の魂を使ったんだ? 不自然に繋ぎ止められたものは、消滅もしくは魔物と変化していくことを知っているだろ?」 「ああ、知っているさ。 」 俺は黙って女性の話を聞く。 やり直す・・・か。 一体何のために・・? そして今までの感情を吐き出すような形で泣き叫びつつ語る。 「生きているころのあの子を殺したのはあたしなのさ・・・・ 親の愛情を受けたことの無く、言い訳にしか過ぎないが・・・どうやって 愛したらいいのかわからない!!!!そして、ある日・・・・あの子を殺してしまった・・・」 虐待を受けた子供は人によって また自らの子供に虐待をし続ける・・・か・・・ 「そして作ったが、出来たのは出来損ない代物!!」 これ以上は無理だな。 「ともかくあの子はあんたが、決着をつけるべきだ。 あの子は俺の屋敷で預かっておく。 いつでも迎えに来い。 」 「迎え・・・・」 はぁ・・・ リナ、お前が望んでいるような結果にはならないんだよ・・・・ 「あ、ガウリイお帰り〜〜」 「おう。 ただいま。 」 屋敷に戻って見ると案の上、式神たちが目を回して気絶していた。 やっぱりな・・・すまん。 式神たち、成仏してくれ。 リナは少女に幼少の着物をつけさせたようだ。 あの着物に見覚えがあるし。 今あの子は、屋敷の庭で物珍しそうに、池を凝視している。 「どうだった?」 「そうだなぁ・・・・」 ことの顛末を話した。 するとリナは、少々嬉しそうに顔を緩ませて少女の方に駆け寄って一緒に遊び始める。 「浮かない顔だなぁ〜〜てめーはよう。 」 俺が視線を動かすとちゃっかり酒とつまみを取り出して 寛いでいたザングルスの姿があった。 ま、今のはこいつが悪いし。 」 穂を作った尼が俺の屋敷にやってきた。 どうしていいのかわからないのか尼は戸惑って穂に手を伸ばすが びくりとして逃げ出す。 「穂ちゃん!!!」 リナは逃げ出した穂を追いかける。 「・・・・・・帰るのか?」 「ああ。 あの子には、あたしはいらないようだからね。 「穂ちゃん?」 リナはススキの群生が広がっている場所に逃げ込んだ穂の頭をゆっくり撫でた。 そして言い聞かせるように。 「大丈夫。 ちゃんと逢いに行かないと。 」 ぶんぶん 頭を振る穂にリナは仁王立ちをしてびしぃっと指差す。 「大丈夫。 」 リナは穂の手を引っ張って、寺のある方角へと走っていく。 すると寺の方角から火によって焼かれている木材の匂いがする。 寺は言うまでも無く・・・・ 「穂ちゃん!!」 リナが握っていた手を振り解き寺の方に走っていく。 慌ててリナが連れ戻そうと寺に向かうが・・・・・・ ぐぃ!! 「ガウリイ!!お願い、蒼竜で火を消して!!!穂ちゃんを助けないと・・・」 「・・・・・わかった。 蒼竜!!」 空に蒼き竜が立ち上り雨が降る。 が、一向に火の勢いはやむ気配がない。 ボウ!!! 寺は既に原型をとどめていない状況だった。 穂は寺の中心でよく母が居た本堂に向かう。 その間に、柱などは火に包まれ崩れ落ちる。 足に柱が乗っていた尼は、穂が必死に助けようとするが子供の力でかなうはずも無く 「なんだ・・・い!! お前は、あっちの家で暮らしな!!消滅するまで・・・」 ブンブン 頭を左右に振り尼の着物の裾を握り締めて 離れる気配が一向に無い。 その瞳からは涙を流しているようにも見える。 「そう・・か・・・ちゃんと愛してやらなくて・・・・ごめんよ・・・」 ボゥ!!!!!!! 完全に二人を囲んでいた炎は二人を包み込んだ。 しかし満たされたような笑みを最後に二人とも浮かべていた・・・・ 「何にもなくなっちゃったね・・・・」 「そうだな。 」 焼け野原となった寺の場所に立っていた。 二人の魂の救いを願って祭りあげる。 「あの二人は、最後の最後で気持ちが通じ合ったんだ。 リナが気に病むことはない。 」 「このまますれ違っていたよりは、ずっとよかったさ。 [PR].

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【特技】人外のもの

式神の火穂

とても複雑なので御祭神の名を整理して書きます。 三良天神…三柱の天つ神 火明(ホアカリ)の神 火酢芹(ホスセリ)の神 豊玉姫神 志志岐三神…神功皇后の関係者 十域別(トキワケ)の神 (弟)仲哀天皇の兄弟 稚武(ワカタケ)王 (兄)仲哀天皇の兄弟 葉山姫神 これが六柱の神々の大まかな関係でした。 天神とは神代の神々をさします。 志志岐三神は神功皇后と行動を共にした人たちです。 この二組の神々は時代も役割も違うので、 別々にお話していきたいと思います。 歴史の裏側の住人となった三良天神 火明命(ほあかりのみこと) 火明命はニギハヤヒと言う別名の方が有名です。 裏日本史のヒーロー的存在です。 火明命は、神武天皇が東征する前に、すでに大和で 平和な国づくりを済ませていました。 その国の豪族のナガスネヒコの娘トミヤ姫を妻にして、 子供も出来ていました。 しかし、そこに弟のニニギノ命の孫の神武天皇が 天孫としてやってきます。 いわゆる神武東征です。 神武はアマテラスがこの国を治めるように命じたという 証拠の宝を持っていました。 それを確認した火明命は、「それならば」と国を譲る事にします。 しかし、その後、悲劇が起こります。 妻の兄のナガスネヒコが反対したのです。 その結果、火明命は、ナガスネヒコを殺さねばなりませんでした。 こうして、国を譲り、臣下となって歴史の裏側へまわる事になりました。 この神は海人族の神でもありました。 火酢芹(ホスセリ)の神 この神はコノハナサクヤ姫の子供です。 三人兄弟として、火の中で生まれました。 このうちの二人は、有名な山幸彦と海幸彦です。 二人は今でも語り継がれていますが、 この火酢芹神の話は全く残っていません。 歴史から消えてしまっています。 そんな神が安曇族によって祀られていました。 もう表舞台では忘れられてしまいましたが、 何らかの深い事情があったのかもしれません。 豊玉姫の神 豊玉姫は海神の娘で山幸彦と結婚して男の子を生みます。 しかし、その子を妹の玉依姫に預けて、 龍宮へ帰らざるを得ませんでした。 我が子の成長を生涯、見ることの出来なかった哀しい母なのです。 夫の山幸彦は歴史に燦然と輝きながら、 その妻は、歴史の片隅においやられてしまいました。 この三柱が三良天神です。 この三柱の共通項は表舞台から消えて行った事ですが、 この奈多の浜辺の里で、安曇族たちが大切に奉祭していました。 ですから、今から、この安曇族の水軍の世話になる神功皇后は、 ここで改めて、「ひもろぎ」をこしらえて三天神を招いて、 自ら祭王となって、神楽を奉納したのではないかと思いました。 ここにやって来た時には、髪の毛をみずらに結って、 男装をした、勇ましい皇后さまが、 長い髪を下ろし、美しい衣装を着て神を呼び、天女のように舞う。 そして、祭壇には、集落の人が釣って来た、 二匹の大鯛が供えられている。 そんな光景が目に浮かぶようです。 祭りの後、その大鯛は直会(なおらい)として、 ただちにさばかれて、皇后さまの御膳を賑わした。 この時の神事が今に伝えられている。 いかがでしょうか。 この三天神は、歴史の裏に回ったけれども、 神功皇后の先祖でもある訳です。 ですから、双方にとって、良いお祭りとなりました。 この時に神功皇后そば近くに仕えていたのが、志志岐の三神です。 志志岐三神…神功皇后の関係者 十域別(トキワケ)の神 (弟)仲哀天皇の弟 稚武(ワカタケ)王 (兄)仲哀天皇の弟 葉山姫神 山城の国出身 上の二人、十域別の神と稚武王が兄弟だというのは、 『お宮の由来』に書いてありました。 しかも、驚いた事に、この二人は仲哀天皇の兄弟でした。 仲哀天皇が崩御した後も、神功皇后を支えて、 武将として、新羅進軍に加わっています。 『お宮の由来』を整理しながら口語訳してみます。 筑前風土記拾遺によると、 奈多の浦の志志岐大明神は下松浦明神である。 仲哀天皇の弟の 十域別王の事である。 稚武王も仲哀天皇の弟で、上松浦明神という。 肥前の国松浦郡の田島の神である。 志志岐神社の二人とも、仲哀天皇の弟であり、応神天皇の叔父にあたる。 神功皇后の三韓征伐の時に、武将としてお供した。 葉山大明神は日本紀に言う、摂津の国武庫郡西宮郷、広田大明神である。 天照大神の荒御魂を、山背の根子の娘の葉山姫に祭らせる。 (神功皇后のご神託によって) この由来書から十域別王と稚武王と仲哀天皇が 三兄弟だったことが分かりました。 そのうちの仲哀天皇が神功皇后と結婚しています。 仲哀天皇が崩御してからも、二人の弟王は武将として、 神功皇后を助けて朝鮮半島まで共に行っていることも これで分かりました。 そうして、その後、上松浦郡と下松浦郡で神として 祭られていたのをこちらに勧請したのです。 どうして、二人は松浦郡の神になったのでしょうか。 ネットで三人を調べてみました。 十域別(トキワケ)王 志志岐神社 長崎県平戸市野子古町251 祭神 十域別王 創建 神功皇后摂政30(230)年 十域別王の陵墓がここにあるそうです。 神功皇后の命令で、対朝鮮半島警備のために、 この島に配属されたという話も載っていました。 そして、この地で亡くなっています。 ここは平戸島です。 後で、地図を出しますが、朝鮮半島を見張るには軍備上 有利な所には見えません。 これでは、まるで島送り状態です。 稚武(ワカタケ)王 田島(たじま)神社 佐賀県唐津市呼子町の加部島にある。 宗像三女神を祭る。 大山祇神と 稚武王尊(仲哀天皇の弟)を配祠する。 ここでは稚武王尊の事は伝承不明です。 ここも、島です。 この二人とも帰国の途中で、新羅を見張る名目で、 佐賀県の呼子の加部島と、長崎県の平戸島に配属されたと言うのでしょうか。 こんな、遠い島に。 二人別々に。 これは、何か変です。 何が起こったのでしょうか。 ここからはルナの勝手な想像です。 この二人は仲哀天皇の兄弟だから、皇位継承権がある人たちです。 この時点では仲哀天皇の崩御はトップ・シークレットです。 しかし、都に戻れば、誰が天皇になるのか、 争いが始まるのは目に見えています。 神功皇后はまだ妊娠中で、生まれる子が男の子か女の子か 分かりません。 しかし、神託では男皇子と告げられています。 彼女は神託を信じて疑わなかったはずです。 (疑った夫はあのように急死してしまったのですから。 ) 彼女は、これから生まれてくる子供の地位を脅かす可能性の ある二人を軍備上の名目で、上手に置いていってしまった。 考えすぎでしょうか。 葉山姫 日本書紀に彼女の名が出て来ます。 抜き出してみましょう。 神功皇后は新羅を討たれた翌年の春2月に海路を取って、 大和に戻られました。 しかし、御子の異母兄弟が軍勢を整えて待っているとお聞きになって、 武内の宿禰に、 「御子を抱いて、南に迂回して紀伊の国の湊に行くように」 とお命じになりました。 中略 神功皇后の方は直接、難波を目指しました。 その時に、皇后の船が海の中でぐるぐる廻って進むことが できなくなりました。 そこで、武庫の湊に戻って占いをされました。 すると、天照大神が教えられました。 「私の荒御魂を皇后のそばに置いてはいけない。 広田の国に祀りなさい。 そこで、山背根子(やましろのねこ)の娘、葉山姫に祀らせました。 中略 亦、事代主(ことしろぬし)の尊が教えられました。 「私をみ心の長田の国に祀りなさい。 そこで、葉山姫の妹、長姫(ながひめ)に祀らせました。 天照大神を祀るために葉山姫を選びました。 続けて、妹の長姫にも事代主の神を祭らせる事にしました。 この後、この二人は今でもそれぞれの神社にお祀りされています。 この姉妹は大和に帰れたのでしょうか。 最期まで、この土地で祭祀をしたのでしょうか。 いずれにしろ、祀らせたという事は その土地に置いて行ったという事です。 神功皇后は葉山姫と長姫姉妹を大和には連れて帰りませんでした。 こうして見て行った結果、 志式神社に祀られた三人の共通項は、置き去りにされた人たちだと分かりました。 この三人を船で送り届けたのは、安曇族の人たちです。 三人のそれぞれの嘆きを目撃しました。 この三人の悲しみをおもんぱかって、言い伝えていたのを、 時が経ってから、 志志岐三神として、合祀したのではないかと考えました。 こうして 神功皇后は自分の皇子のライバルになる人たちを 結果的に退けました。 このあとすぐに、皇位継承権のあるもう二人の、 香坂(かごさか)王と忍熊(おしくま)王が挙兵しましたが、 彼らは、これらの情報を手に入れて、神功皇后の手ごわさを知って、 行動を起こしたのかもしれません。 こうして、この志式神社には 進軍する前にお祭りした安曇族の三柱の天神と、 凱旋しながら、置き去りにされて行った三人 を神として祀っています。 まさかの展開でしたが、 安曇族の人たちはこの六柱を大切にお祀りして来ました。 その里の人々の優しい心を喜び、 ここの神々は人々を災難から守ってくれています。 (ずいぶん長く奈多の浜で遊んだなあ。 そろそろ家路につきましょか。 092-781-6962 近くの書店も通常価格です。

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お知らせ(2月26日)

式神の火穂

--- 穂〜2 「はぁ〜〜そうは言ってもなぁ・・・・」 深い深いため息をつきつつ 俺は少女を作り上げた尼のもとへ向かっていた。 ひとまず会う必要があるからだ・・・ それにしても俺もリナに、甘いよなぁ・・・・ リナには念のため、式神をつけてきたがどうか吹き飛ばしたりしていませんようにと・・・ ここか。 あの少女を作り上げた尼がいるのは。 どうも術の組み合わせを間違えたようだな・・・・・ その寺の周りには術の名残が残っていた。 俺が寺に立ち入るとあの子と面影が似ている女性があらわれた。 「一体何の用だい?」 「俺は安部晴明・・・・あんたが使った術のことで話に来たんだが・・・」 「あんたが!?あの、安部晴明・・・」 俺は寺に立ち入って女性の話を聞いていた。 術の方法に案の定間違いがあったし・・・・・ 「しかし、何でまた自分の子供の魂を使ったんだ? 不自然に繋ぎ止められたものは、消滅もしくは魔物と変化していくことを知っているだろ?」 「ああ、知っているさ。 」 俺は黙って女性の話を聞く。 やり直す・・・か。 一体何のために・・? そして今までの感情を吐き出すような形で泣き叫びつつ語る。 「生きているころのあの子を殺したのはあたしなのさ・・・・ 親の愛情を受けたことの無く、言い訳にしか過ぎないが・・・どうやって 愛したらいいのかわからない!!!!そして、ある日・・・・あの子を殺してしまった・・・」 虐待を受けた子供は人によって また自らの子供に虐待をし続ける・・・か・・・ 「そして作ったが、出来たのは出来損ない代物!!」 これ以上は無理だな。 「ともかくあの子はあんたが、決着をつけるべきだ。 あの子は俺の屋敷で預かっておく。 いつでも迎えに来い。 」 「迎え・・・・」 はぁ・・・ リナ、お前が望んでいるような結果にはならないんだよ・・・・ 「あ、ガウリイお帰り〜〜」 「おう。 ただいま。 」 屋敷に戻って見ると案の上、式神たちが目を回して気絶していた。 やっぱりな・・・すまん。 式神たち、成仏してくれ。 リナは少女に幼少の着物をつけさせたようだ。 あの着物に見覚えがあるし。 今あの子は、屋敷の庭で物珍しそうに、池を凝視している。 「どうだった?」 「そうだなぁ・・・・」 ことの顛末を話した。 するとリナは、少々嬉しそうに顔を緩ませて少女の方に駆け寄って一緒に遊び始める。 「浮かない顔だなぁ〜〜てめーはよう。 」 俺が視線を動かすとちゃっかり酒とつまみを取り出して 寛いでいたザングルスの姿があった。 ま、今のはこいつが悪いし。 」 穂を作った尼が俺の屋敷にやってきた。 どうしていいのかわからないのか尼は戸惑って穂に手を伸ばすが びくりとして逃げ出す。 「穂ちゃん!!!」 リナは逃げ出した穂を追いかける。 「・・・・・・帰るのか?」 「ああ。 あの子には、あたしはいらないようだからね。 「穂ちゃん?」 リナはススキの群生が広がっている場所に逃げ込んだ穂の頭をゆっくり撫でた。 そして言い聞かせるように。 「大丈夫。 ちゃんと逢いに行かないと。 」 ぶんぶん 頭を振る穂にリナは仁王立ちをしてびしぃっと指差す。 「大丈夫。 」 リナは穂の手を引っ張って、寺のある方角へと走っていく。 すると寺の方角から火によって焼かれている木材の匂いがする。 寺は言うまでも無く・・・・ 「穂ちゃん!!」 リナが握っていた手を振り解き寺の方に走っていく。 慌ててリナが連れ戻そうと寺に向かうが・・・・・・ ぐぃ!! 「ガウリイ!!お願い、蒼竜で火を消して!!!穂ちゃんを助けないと・・・」 「・・・・・わかった。 蒼竜!!」 空に蒼き竜が立ち上り雨が降る。 が、一向に火の勢いはやむ気配がない。 ボウ!!! 寺は既に原型をとどめていない状況だった。 穂は寺の中心でよく母が居た本堂に向かう。 その間に、柱などは火に包まれ崩れ落ちる。 足に柱が乗っていた尼は、穂が必死に助けようとするが子供の力でかなうはずも無く 「なんだ・・・い!! お前は、あっちの家で暮らしな!!消滅するまで・・・」 ブンブン 頭を左右に振り尼の着物の裾を握り締めて 離れる気配が一向に無い。 その瞳からは涙を流しているようにも見える。 「そう・・か・・・ちゃんと愛してやらなくて・・・・ごめんよ・・・」 ボゥ!!!!!!! 完全に二人を囲んでいた炎は二人を包み込んだ。 しかし満たされたような笑みを最後に二人とも浮かべていた・・・・ 「何にもなくなっちゃったね・・・・」 「そうだな。 」 焼け野原となった寺の場所に立っていた。 二人の魂の救いを願って祭りあげる。 「あの二人は、最後の最後で気持ちが通じ合ったんだ。 リナが気に病むことはない。 」 「このまますれ違っていたよりは、ずっとよかったさ。 [PR].

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