ブレン ステッド ローリー の 定義。 ブレンステッド

リフィルの互換性

ブレン ステッド ローリー の 定義

1 酸と塩基の定義 私たちが化学物質を同定し、区別するとき、その手掛かりとなるのは、物質の何らかの性質です。 また、いくつかの物質を分類するときも、共通の性質を持つ一群のものをひとまとめにします。 こうして、金属・土・水・油・空気などが、それぞれの共通の性質によって分類され、それらの中でも最も基本的と考えられるものが、古代以来「 元素 element 」と呼ばれてきました。 「酸性 acidity 」は、物質のこのような顕著な性質の 1 つであり、そういう性質を持ついくつかの物質が、 「酸 acid 」としてまとめられました。 13 世紀のヨーロッパでは、硫酸鉄 II FeSO 4 の乾留によって硫酸 H 2 SO 4 が、硫酸鉄 II FeSO 4 と硝酸カリウム KNO 3 の混合物の乾留によって硝酸 HNO 3 が得られていました。 一方で、酸と反応して、その働きを弱める物質もまた、昔から分かっていました。 それは、陸の植物や海藻を焼いた灰の中にありました。 再結晶によって、陸の植物からは主に炭酸カリウム K 2 CO 3 が、海藻からは主に炭酸ナトリウム Na 2 CO 3 が得られました。 これらの物質は、舌を刺激する特有の辛味があり、中世の錬金術師ゲーベルは、これらを「アルカリ alkali 」と呼びました。 「アルカリ」の語源は、アラビア語の冠詞「 al 」と「 qily 植物を焼いた灰 」に由来します。 アルカリをさらに強熱すると、一部は二酸化炭素 CO 2 などの気体となって消え、さらに強いアルカリ性の物質が残りました。 当時の人たちは、加熱したあとに残る部分は、もとの灰よりも堅固な物質だと考え、ギリシア語の「 basis 基礎 」にちなんで、 「塩基 base 」と名付けました。 今日では、酸の対概念には塩基を用いますが、水に溶けやすい無機塩は、特にアルカリとも呼んでいます。 1 ゲーベルの著作は 400 を超えるともいわれ、中世ヨーロッパの錬金術に大きな影響を与えた 酸と塩基の定義は、時代によって変遷していきま した。 化学の黎明期に当たる 17 世紀に入ると、実用的色彩の強かった化学も、自然科学の一分野として、しかるべき地位が与えられるようになり、なぜそうした性質を示すのかという点にまで、目が向けられるようになりました。 例えば、イギリスの 物理学者であったロバート・ボイルは、植物色素を使用して、酸と塩基の定義をしました。 酸とは水溶液中でスミレ花汁やリトマスなどの植物色素を赤色に変えるもの、塩基とはスミレ花汁やリトマスなどの植物色素を青色に変えるというものです。 ボイルの定義により、酸と塩基は、多くの物質を判定する客観的な基準となりました。 しかし、化学の進歩とともに、このような単純な定義で酸と塩基を議論するということが困難になり、より広義な酸と塩基の定義に拡張されていきました。 2 地中海沿岸の岩石上に生えるリトマスゴケから、リトマス色素が得られる i アレニウスの定義 19 世紀後半になると、物理学の発展とともに、物理化学が生まれてきました。 スウェーデンの化学者であるスヴァンテ・アレニウスは 、 1887 年に水溶液の浸透圧や電気伝導性などの諸性質が、塩類の水溶液においては異常な値を取ることを、「イオンの電離説」によって明らかにしました。 アレニウスは、このような電解質の電離の理論に関する業績により、 1903 年にノーベル化学賞を受賞しています。 したがって、アレニウスの定義における酸とは、水 H 2 O よりも強い酸のことであり、アレニウスの定義における塩基とは、水 H 2 O よりも強い塩基のことです。 なお、 塩基とアルカリの違いについては、高校の化学ではあまり取り上げて学習しませんが、アルカリ性は水に溶けて塩基性を示す物質の性質のことなので、アレニウスの定義における塩基性とは、一般的にアルカリ性と同じ意味で使われます。 1 主な酸と塩基の分類 1 価 2 価 3 価 強酸 HCl 、 HNO 3 、 C 6 H 5 SO 3 H H 2 SO 4 弱酸 CH 3 COOH 、 C 6 H 5 OH H 2 C 2 O 4 、 H 2 CO 3 、 H 2 S H 3 PO 4 強塩基 NaOH 、 KOH Ca OH 2 、 Ba OH 2 弱塩基 NH 3 、 C 6 H 5 NH 2 Fe OH 2 、 Cu OH 2 酸と塩基の強さについては、溶かした電解質の量に対する電離した電解質の割合から決めることができ、これを「電離度 degree of ionization 」といいます。 酢酸 CH 3 COOH の 酸解離定数を K a とすると、次のように表せます。 ii ブレンステッドの定義 アレニウスの定義は実に有効であり、日常的には、この定義に対して不満を持つことはまずありません。 しかし、アレニウスの定義は、溶媒の関与を考慮していませんでし た。 20 世紀に入る頃から、有機溶媒や液体アンモニア NH 3 などの水 H 2 O 以外の溶液へと、化学の研究対象は広まりました。 それに伴い、非水溶媒における酸塩基に拡張し得る定義が必要になりました。 そこで 1923 年、デンマークの化学者であるヨハンス・ブレンステッドは、酸と塩基の定義を次のように提唱しました。 ブレンステッドの定義では、酸はプロトン供与体として、塩基はプロトン受容体として働きます。 この定義は、水溶液中以外でも適用することができるので、水素 H を持つあらゆる物質に適用できるという点で、アレニウスの定義よりもかなり広義な定義になります。 ブレンステッド酸を HA とし、ブレンステッド塩基を B とすると、一般的にブレンステッドの酸塩基反応は、次のように表すことができます。 このような名称になる理由は、もし逆反応が進行すれば、共役塩基と共役酸のそれぞれが、塩基や酸として働くからです。 ブレンステッドの定義とアレニウスの定義の大きな違いは、アレニウスの定義は、酸と塩基を別々に分類して扱うのに対し、ブレンステッドの定義は、酸と塩基を反応の中で同時に扱うことです。 ブレンステッドの定義では、反応によって同じ物質が酸として働いたり、塩基として働いたりすることがあります。 例えば、ブレンステッドの定義では、水 H 2 O は次のように酸としても塩基としても働きます。 しかし、ブレンステッドの定義では、水 H 2 O は酢酸 CH 3 COOH に対してはプロトン受容体の塩基として、アンモニア NH 3 に対してはプロトン供与体の酸として働くのです。 例えば、強酸として知られる硝酸 HNO 3 も、硫酸 H 2 SO 4 との反応では、次のように塩基として振る舞います。 この点で、この定義は非常に有効であるものの、反応によって物質が酸になったり塩基になったりするので、物質を酸や塩基に分類して、そこから物質の関係を理解していこうとするときにはむしろ不便になり、初学者にとっては混乱を起こしやすいという欠点もあります。 したがって、酸と塩基を分類しようというときには、アレニウスの定義なのかブレンステッドの定義なのかを、はっきりさせた上で分類しなければなりません。 一般的に反応が進行するかどうかなどの反応論を扱うときには、ブレンステッドの定義を使うと便利です。 しかし、明らかに酸と塩基が区別されている中和反応などを扱うときは、アレニウスの定義の方が分かりやすく便利になります。 なお、一般的に酸や塩基というときは、水 H 2 O を中性物質とした、アレニウスの定義における分類を用いることが多いです。 4 酸の相対的な強さ iii ルイスの定義 ルイスの定義における酸と塩基は、ブレンステッドの定義をさらに拡張して、電子対の供与と享受で定義しました。 ルイスの定義では、およそ酸や塩基とは思えないような物質が酸塩基反応を起こします。 「酸とは電子対を受け取る物質であり、塩基とは電子対を与える物質である」 例えば、アンモニア NH 3 と三フッ化ホウ素 BF 3 の反応では、電子供与体であるアンモニア NH 3 がホウ素 B の p 軌道に価電子を与えて、窒素 N とホウ素 B の間に共有結合が形成されます。 このように電子供与体から与えられた電子対により形成された新たな共有結合は、「配位結合 coordinate bond 」と呼ばれます。 そして、この配位結合により生じた新たな分子は「錯体 complex 」と呼ばれ、電子供与体は「配位子 ligand 」と呼ばれます。 そのため、非共有電子対を持つ窒素 N のような原子と配位結合を形成し、水素原子 H は電子対を受け取るルイス酸として作用します。 ルイスの定義はこのように明瞭であり、無機化学だけでなく有機化学の反応など、応用範囲は広いです。 2 酸と塩基の強さ ブレンステッドの定義では、どちらの酸性度が強いのか、あるいは塩基性度が強いのかさえ理解できれば、反応がどちらに進むのかが、たちまちに判断できました。 未知の酸と塩基の強さを知りたいときは、その分子の構造式を分析することで、他の分子との相対的な判断が可能になります。 i 酸 HA の強さ 強酸として知られる塩酸 HCl は、水中で以下のように水 H 2 O と酸塩基反応をします。 この反応は平衡反応ですが、その平衡は著しく右に偏っています。 水 H 2 O と反応するとき、平衡定数が著しく大きくなるような酸を、一般的に強酸といいます。 次の反応の平衡定数は、推定で 5. この判断をするためには、酸塩基の強弱表をすべて暗記していなければならないのでしょうか?しかし、酸として働く物質は無数にあるため、暗記に頼っても限度があります。 そこで、酸の強さを調べようとするとき、共役塩基の弱さ、すなわち共役塩基の安定性を考えることにします。 i - 1 A 原子の電気陰性度が大きい 例えば、メタン CH 4 とアンモニア NH 3 、水 H 2 O 、フッ化水素 HF の酸の強さの関係は、 HF > H 2 O > NH 3 > CH 4 のようになります。 このような順になる理由は、原子の電気陰性度が F > O > N > C の関係になるからです。 つまり、原子 A の電気陰性度が大きいほど、酸 HA の酸性度は強くなります。 i - 2 A 原子が大きい 例えば、フッ化水素 HF と塩化水素 HCl 、臭化水素 HBr 、ヨウ化水素 HI の酸の強さの関係は、 HI > HBr > HCl > HF のようになります。 これは、電気陰性度が F > Cl > Br > I の関係になるので、一見すると先の考察と矛盾しているようにも思えます。 しかし、原子 A の大きさは、 I > Br > Cl > F の関係になっているので、この影響が電気陰性度の寄与を上回ります。 6 において 、 p 軌道の価電子対が、別の原子の p 軌道に移動することによって できる 1 つ 1 つの構造式 を、「共鳴構造式 resonance structure 」といいます。 つまり、共鳴においては、負電荷は 1 つの原子に局在化してはおらず、すべての共鳴構造式の間に分散して存在しているのです。 しかしながら、ただ共鳴構造式が多く書ければ良いという訳でもありません。 共鳴混成体におけるそれぞれの共鳴構造式の寄与は、その構造よって異なるので注意が必要です。 6 の I と II の 2 つで考えることができます。 しかし、炭素原子 C は電気陰性度があまり大きくはないので、負電荷を帯びることはあまり有利に働かないのです。 また、酸素原子 O の電子対がベンゼン環に移動してしまうと、ベンゼン環の芳香族性は破壊されてしまいます。 よって、酸性度も CH 3 COOH > C 6 H 5 OH になります。 次の化学反応で、アンモニア NH 3 は塩基として働きます。 すなわち、塩基の強さは非共有電子対の電子密度に左右され、電子密度が大きく非共有電子対が不安定なほど、塩基の反応性は高くなって、塩基性度は強くなるということができます。 強塩基としては、一般的にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が知られています。 水酸化リチウム LiOH と水酸化ナトリウム NaOH 、水酸化カリウム KOH の塩基性の強さの関係は、 KOH > NaOH > LiOH のようになります。 この理由は、イオン半径の大きさの関係が K > Na > Li だからです。 一般的にイオン半径が大きければ大きいほど、陽電荷は分散されて、単位面積あたりの陽電荷は小さくなります。 また、同周期の塩基において、水酸化カリウム KOH と水酸化カルシウム Ca OH 2 の塩基性の強さの関係は、 KOH > Ca OH 2 のようになります。 この理由は、金属イオンの電荷が、カリ ウム K では 1 価なのに対して、カルシウム Ca で は 2 価だからです。 7 周期表の左下の金属水酸化物ほど塩基性が強い iii 誘起効果 酸や塩基の強さは、隣接する置換基の効果も受けて、もとの酸や塩基の強さが変化します。 例えば、酢酸 CH 3 COOH とフルオロ酢酸 FCH 2 COOH 、ジフルオロ酢酸 F 2 CHCOOH 、トリフルオロ酢酸 F 3 CCOOH の酸の強さの関係は、 F 3 CCOOH > F 2 CHCOOH > FCH 2 COOH > CH 3 COOH のようになります。 この現象を「誘起効果 Inductive effect 」といいます。 また、誘起効果は、フッ素 F のような電子求引性の置換基だけではなく、「電子供与性 electron - releasing 」の置換基でも起こる現象です。 例えば、メチル基 - CH 3 は電子供与性の置換基であり、アンモニア NH 3 とメチルアミン CH 3 NH 2 の塩基性の強さの関係は、 CH 3 NH 2 > NH 3 のようになります。 電子供与性の置換基は、非共有電子対の電子密度を増大させるので、塩基性を強くする効果があるのです。 9 誘起効果 + I 効果 により非共有電子対が不安定化する このように誘起効果には、電子求引性の置換基と電子供与性の置換基の 2 種類があり、前者の誘起効果を特に - I 効果、後者の誘起効果を + I 効果といいます。 誘起効果を現す置換基は、原子の電子密度を変えるので、酸や塩基の強さを判断する手段になるだけではなく、有機化学の反応機構にも大きく関与してくることになります。 次の表. 2 に主な誘起効果を現す置換基を示します。 ただし、ヒドロキシキ基 - OH やアルコキシキ基 - OR などのように、非共有電子対が基質に隣接する位置に存在する電子求引基が、カルボニル基 - CO - やフェニル基 - C 6 H 5 などの電子求引性の置換基に隣接した際には、共鳴によって非共有電子対が移動して、電子供与的に働く場合があるので注意が必要です。 2 主な誘起効果を現す置換基.

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基礎化学4 酸・塩基・塩と酸化還元反応

ブレン ステッド ローリー の 定義

1 酸と塩基の定義 私たちが化学物質を同定し、区別するとき、その手掛かりとなるのは、物質の何らかの性質です。 また、いくつかの物質を分類するときも、共通の性質を持つ一群のものをひとまとめにします。 こうして、金属・土・水・油・空気などが、それぞれの共通の性質によって分類され、それらの中でも最も基本的と考えられるものが、古代以来「 元素 element 」と呼ばれてきました。 「酸性 acidity 」は、物質のこのような顕著な性質の 1 つであり、そういう性質を持ついくつかの物質が、 「酸 acid 」としてまとめられました。 13 世紀のヨーロッパでは、硫酸鉄 II FeSO 4 の乾留によって硫酸 H 2 SO 4 が、硫酸鉄 II FeSO 4 と硝酸カリウム KNO 3 の混合物の乾留によって硝酸 HNO 3 が得られていました。 一方で、酸と反応して、その働きを弱める物質もまた、昔から分かっていました。 それは、陸の植物や海藻を焼いた灰の中にありました。 再結晶によって、陸の植物からは主に炭酸カリウム K 2 CO 3 が、海藻からは主に炭酸ナトリウム Na 2 CO 3 が得られました。 これらの物質は、舌を刺激する特有の辛味があり、中世の錬金術師ゲーベルは、これらを「アルカリ alkali 」と呼びました。 「アルカリ」の語源は、アラビア語の冠詞「 al 」と「 qily 植物を焼いた灰 」に由来します。 アルカリをさらに強熱すると、一部は二酸化炭素 CO 2 などの気体となって消え、さらに強いアルカリ性の物質が残りました。 当時の人たちは、加熱したあとに残る部分は、もとの灰よりも堅固な物質だと考え、ギリシア語の「 basis 基礎 」にちなんで、 「塩基 base 」と名付けました。 今日では、酸の対概念には塩基を用いますが、水に溶けやすい無機塩は、特にアルカリとも呼んでいます。 1 ゲーベルの著作は 400 を超えるともいわれ、中世ヨーロッパの錬金術に大きな影響を与えた 酸と塩基の定義は、時代によって変遷していきま した。 化学の黎明期に当たる 17 世紀に入ると、実用的色彩の強かった化学も、自然科学の一分野として、しかるべき地位が与えられるようになり、なぜそうした性質を示すのかという点にまで、目が向けられるようになりました。 例えば、イギリスの 物理学者であったロバート・ボイルは、植物色素を使用して、酸と塩基の定義をしました。 酸とは水溶液中でスミレ花汁やリトマスなどの植物色素を赤色に変えるもの、塩基とはスミレ花汁やリトマスなどの植物色素を青色に変えるというものです。 ボイルの定義により、酸と塩基は、多くの物質を判定する客観的な基準となりました。 しかし、化学の進歩とともに、このような単純な定義で酸と塩基を議論するということが困難になり、より広義な酸と塩基の定義に拡張されていきました。 2 地中海沿岸の岩石上に生えるリトマスゴケから、リトマス色素が得られる i アレニウスの定義 19 世紀後半になると、物理学の発展とともに、物理化学が生まれてきました。 スウェーデンの化学者であるスヴァンテ・アレニウスは 、 1887 年に水溶液の浸透圧や電気伝導性などの諸性質が、塩類の水溶液においては異常な値を取ることを、「イオンの電離説」によって明らかにしました。 アレニウスは、このような電解質の電離の理論に関する業績により、 1903 年にノーベル化学賞を受賞しています。 したがって、アレニウスの定義における酸とは、水 H 2 O よりも強い酸のことであり、アレニウスの定義における塩基とは、水 H 2 O よりも強い塩基のことです。 なお、 塩基とアルカリの違いについては、高校の化学ではあまり取り上げて学習しませんが、アルカリ性は水に溶けて塩基性を示す物質の性質のことなので、アレニウスの定義における塩基性とは、一般的にアルカリ性と同じ意味で使われます。 1 主な酸と塩基の分類 1 価 2 価 3 価 強酸 HCl 、 HNO 3 、 C 6 H 5 SO 3 H H 2 SO 4 弱酸 CH 3 COOH 、 C 6 H 5 OH H 2 C 2 O 4 、 H 2 CO 3 、 H 2 S H 3 PO 4 強塩基 NaOH 、 KOH Ca OH 2 、 Ba OH 2 弱塩基 NH 3 、 C 6 H 5 NH 2 Fe OH 2 、 Cu OH 2 酸と塩基の強さについては、溶かした電解質の量に対する電離した電解質の割合から決めることができ、これを「電離度 degree of ionization 」といいます。 酢酸 CH 3 COOH の 酸解離定数を K a とすると、次のように表せます。 ii ブレンステッドの定義 アレニウスの定義は実に有効であり、日常的には、この定義に対して不満を持つことはまずありません。 しかし、アレニウスの定義は、溶媒の関与を考慮していませんでし た。 20 世紀に入る頃から、有機溶媒や液体アンモニア NH 3 などの水 H 2 O 以外の溶液へと、化学の研究対象は広まりました。 それに伴い、非水溶媒における酸塩基に拡張し得る定義が必要になりました。 そこで 1923 年、デンマークの化学者であるヨハンス・ブレンステッドは、酸と塩基の定義を次のように提唱しました。 ブレンステッドの定義では、酸はプロトン供与体として、塩基はプロトン受容体として働きます。 この定義は、水溶液中以外でも適用することができるので、水素 H を持つあらゆる物質に適用できるという点で、アレニウスの定義よりもかなり広義な定義になります。 ブレンステッド酸を HA とし、ブレンステッド塩基を B とすると、一般的にブレンステッドの酸塩基反応は、次のように表すことができます。 このような名称になる理由は、もし逆反応が進行すれば、共役塩基と共役酸のそれぞれが、塩基や酸として働くからです。 ブレンステッドの定義とアレニウスの定義の大きな違いは、アレニウスの定義は、酸と塩基を別々に分類して扱うのに対し、ブレンステッドの定義は、酸と塩基を反応の中で同時に扱うことです。 ブレンステッドの定義では、反応によって同じ物質が酸として働いたり、塩基として働いたりすることがあります。 例えば、ブレンステッドの定義では、水 H 2 O は次のように酸としても塩基としても働きます。 しかし、ブレンステッドの定義では、水 H 2 O は酢酸 CH 3 COOH に対してはプロトン受容体の塩基として、アンモニア NH 3 に対してはプロトン供与体の酸として働くのです。 例えば、強酸として知られる硝酸 HNO 3 も、硫酸 H 2 SO 4 との反応では、次のように塩基として振る舞います。 この点で、この定義は非常に有効であるものの、反応によって物質が酸になったり塩基になったりするので、物質を酸や塩基に分類して、そこから物質の関係を理解していこうとするときにはむしろ不便になり、初学者にとっては混乱を起こしやすいという欠点もあります。 したがって、酸と塩基を分類しようというときには、アレニウスの定義なのかブレンステッドの定義なのかを、はっきりさせた上で分類しなければなりません。 一般的に反応が進行するかどうかなどの反応論を扱うときには、ブレンステッドの定義を使うと便利です。 しかし、明らかに酸と塩基が区別されている中和反応などを扱うときは、アレニウスの定義の方が分かりやすく便利になります。 なお、一般的に酸や塩基というときは、水 H 2 O を中性物質とした、アレニウスの定義における分類を用いることが多いです。 4 酸の相対的な強さ iii ルイスの定義 ルイスの定義における酸と塩基は、ブレンステッドの定義をさらに拡張して、電子対の供与と享受で定義しました。 ルイスの定義では、およそ酸や塩基とは思えないような物質が酸塩基反応を起こします。 「酸とは電子対を受け取る物質であり、塩基とは電子対を与える物質である」 例えば、アンモニア NH 3 と三フッ化ホウ素 BF 3 の反応では、電子供与体であるアンモニア NH 3 がホウ素 B の p 軌道に価電子を与えて、窒素 N とホウ素 B の間に共有結合が形成されます。 このように電子供与体から与えられた電子対により形成された新たな共有結合は、「配位結合 coordinate bond 」と呼ばれます。 そして、この配位結合により生じた新たな分子は「錯体 complex 」と呼ばれ、電子供与体は「配位子 ligand 」と呼ばれます。 そのため、非共有電子対を持つ窒素 N のような原子と配位結合を形成し、水素原子 H は電子対を受け取るルイス酸として作用します。 ルイスの定義はこのように明瞭であり、無機化学だけでなく有機化学の反応など、応用範囲は広いです。 2 酸と塩基の強さ ブレンステッドの定義では、どちらの酸性度が強いのか、あるいは塩基性度が強いのかさえ理解できれば、反応がどちらに進むのかが、たちまちに判断できました。 未知の酸と塩基の強さを知りたいときは、その分子の構造式を分析することで、他の分子との相対的な判断が可能になります。 i 酸 HA の強さ 強酸として知られる塩酸 HCl は、水中で以下のように水 H 2 O と酸塩基反応をします。 この反応は平衡反応ですが、その平衡は著しく右に偏っています。 水 H 2 O と反応するとき、平衡定数が著しく大きくなるような酸を、一般的に強酸といいます。 次の反応の平衡定数は、推定で 5. この判断をするためには、酸塩基の強弱表をすべて暗記していなければならないのでしょうか?しかし、酸として働く物質は無数にあるため、暗記に頼っても限度があります。 そこで、酸の強さを調べようとするとき、共役塩基の弱さ、すなわち共役塩基の安定性を考えることにします。 i - 1 A 原子の電気陰性度が大きい 例えば、メタン CH 4 とアンモニア NH 3 、水 H 2 O 、フッ化水素 HF の酸の強さの関係は、 HF > H 2 O > NH 3 > CH 4 のようになります。 このような順になる理由は、原子の電気陰性度が F > O > N > C の関係になるからです。 つまり、原子 A の電気陰性度が大きいほど、酸 HA の酸性度は強くなります。 i - 2 A 原子が大きい 例えば、フッ化水素 HF と塩化水素 HCl 、臭化水素 HBr 、ヨウ化水素 HI の酸の強さの関係は、 HI > HBr > HCl > HF のようになります。 これは、電気陰性度が F > Cl > Br > I の関係になるので、一見すると先の考察と矛盾しているようにも思えます。 しかし、原子 A の大きさは、 I > Br > Cl > F の関係になっているので、この影響が電気陰性度の寄与を上回ります。 6 において 、 p 軌道の価電子対が、別の原子の p 軌道に移動することによって できる 1 つ 1 つの構造式 を、「共鳴構造式 resonance structure 」といいます。 つまり、共鳴においては、負電荷は 1 つの原子に局在化してはおらず、すべての共鳴構造式の間に分散して存在しているのです。 しかしながら、ただ共鳴構造式が多く書ければ良いという訳でもありません。 共鳴混成体におけるそれぞれの共鳴構造式の寄与は、その構造よって異なるので注意が必要です。 6 の I と II の 2 つで考えることができます。 しかし、炭素原子 C は電気陰性度があまり大きくはないので、負電荷を帯びることはあまり有利に働かないのです。 また、酸素原子 O の電子対がベンゼン環に移動してしまうと、ベンゼン環の芳香族性は破壊されてしまいます。 よって、酸性度も CH 3 COOH > C 6 H 5 OH になります。 次の化学反応で、アンモニア NH 3 は塩基として働きます。 すなわち、塩基の強さは非共有電子対の電子密度に左右され、電子密度が大きく非共有電子対が不安定なほど、塩基の反応性は高くなって、塩基性度は強くなるということができます。 強塩基としては、一般的にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が知られています。 水酸化リチウム LiOH と水酸化ナトリウム NaOH 、水酸化カリウム KOH の塩基性の強さの関係は、 KOH > NaOH > LiOH のようになります。 この理由は、イオン半径の大きさの関係が K > Na > Li だからです。 一般的にイオン半径が大きければ大きいほど、陽電荷は分散されて、単位面積あたりの陽電荷は小さくなります。 また、同周期の塩基において、水酸化カリウム KOH と水酸化カルシウム Ca OH 2 の塩基性の強さの関係は、 KOH > Ca OH 2 のようになります。 この理由は、金属イオンの電荷が、カリ ウム K では 1 価なのに対して、カルシウム Ca で は 2 価だからです。 7 周期表の左下の金属水酸化物ほど塩基性が強い iii 誘起効果 酸や塩基の強さは、隣接する置換基の効果も受けて、もとの酸や塩基の強さが変化します。 例えば、酢酸 CH 3 COOH とフルオロ酢酸 FCH 2 COOH 、ジフルオロ酢酸 F 2 CHCOOH 、トリフルオロ酢酸 F 3 CCOOH の酸の強さの関係は、 F 3 CCOOH > F 2 CHCOOH > FCH 2 COOH > CH 3 COOH のようになります。 この現象を「誘起効果 Inductive effect 」といいます。 また、誘起効果は、フッ素 F のような電子求引性の置換基だけではなく、「電子供与性 electron - releasing 」の置換基でも起こる現象です。 例えば、メチル基 - CH 3 は電子供与性の置換基であり、アンモニア NH 3 とメチルアミン CH 3 NH 2 の塩基性の強さの関係は、 CH 3 NH 2 > NH 3 のようになります。 電子供与性の置換基は、非共有電子対の電子密度を増大させるので、塩基性を強くする効果があるのです。 9 誘起効果 + I 効果 により非共有電子対が不安定化する このように誘起効果には、電子求引性の置換基と電子供与性の置換基の 2 種類があり、前者の誘起効果を特に - I 効果、後者の誘起効果を + I 効果といいます。 誘起効果を現す置換基は、原子の電子密度を変えるので、酸や塩基の強さを判断する手段になるだけではなく、有機化学の反応機構にも大きく関与してくることになります。 次の表. 2 に主な誘起効果を現す置換基を示します。 ただし、ヒドロキシキ基 - OH やアルコキシキ基 - OR などのように、非共有電子対が基質に隣接する位置に存在する電子求引基が、カルボニル基 - CO - やフェニル基 - C 6 H 5 などの電子求引性の置換基に隣接した際には、共鳴によって非共有電子対が移動して、電子供与的に働く場合があるので注意が必要です。 2 主な誘起効果を現す置換基.

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酸と塩基

ブレン ステッド ローリー の 定義

水溶液中での酸・塩基は 酸:水中でH3O+を生じる 塩基:水中でOH-を生じる という定義で考えることが出来ます。 これはラボアジェの時代からの認識です。 水溶液中で酸・塩基として働く物質は水のないところでも直接反応が可能です。 水溶液中でアンモニアが塩基であることを示すために必要な定義でもありません。 私たちの生活環境自体、水を溶媒とするものですから水は中性といって差し支えありません。 酸・塩基は溶媒が水でなければいけないのだろうかという問が新たな定義の出発点だろうと思います。 異なる溶媒で起こることを同じ概念で捉えようとするためには両方にまたがるような現象が存在している必要があります。 (初めて習う時これを示すことは重要なことだと思います。 でもこれに触れている本はほとんどありません。 書くと長くなりそうですので省略します。 ) 水という基準をはずす事になりますから必然的に酸・塩基が相対化されます。 水も含めて序列が決まります。 その序列を決める手がかりがH+の受け渡しです。 H+とOH-の二本立てであった判断基準がH+1つに変わっています。 H+とOH-は溶媒であった水の電離によって生じます。 溶媒が水でなければOH-を基準に取ることは出来ません。 H+だけになります。 ある物質が酸であるか塩基であるかは反応の相手によって変わる事になります。 「~に対しては酸として働く」または「~に対しては塩基として働く」ということです。 「HAは酸である」という言い方も出来ない事になります。 水以外の物質が相手であれば[H]-ができる場合も[H2A]+ができる場合もあるからです。 この言い方をしている場合は便宜的に水を基準とした場合の表現を流用しているのです。 (物質の名前自体が水を基準にしたものでからこういう流用はある意味で仕方がないものです。 ) 共役酸・共役塩基という言い方は具体的なH+のやり取りがなければ言えないことです。 上の式ではHAが酸として働いています。 下の式ではA-が塩基として働いています。 実際にこの式の変化が起こるためには別にH+を受け取る、またはH+を放出する相手が必要です。 HA,A-は移り変わり可能な組になっていますから「共役」という言葉を使っています。 ブレンステッドの定義で考えるとH+の放出能力で酸の強弱を考えることが出来ます。 塩基の強弱という別の指標は必要なくなります。 酸の強弱の裏返しが塩基の強弱なのです。 pH1つの指標で酸性もアルカリ性も表すことが出来たのと同じようなものです。 アルカリ性を表すのにpOHをわざわざ考えなくてもいいのです。 ブレンステッドの定義は酸・塩基の考え方を有機溶媒中の反応に対して拡張することを想定しています。 濃硫酸の中での変化に対しても使うことが出来そうです。 硫酸は硝酸よりも強い酸だということになります。 でもブレンステッドの定義ではそのような判断ができません。 定義が対象としている範囲外の反応なのです。 ブレンステッド・ローリーの定義においては、酸、塩基は相対的なものと考えます。 つまり、同一の物質であっても相手によって、酸になることも塩基になることもあるという意味です。 つまり、『この平衡において』H2Oは塩基として作用していることになります。 ただし、逆反応における酸を区別するため(そのためだけというわけではありませんが)に『共役酸』という言葉を用います。 そのために、水溶液以外では意味をなさない定義でした。 ブレンステッド・ローリーの定義による酸であれば、必ずHを持っているはずです。 初学者の方なら、「水は中性で・・・」などと言う呪縛から抜け出さなければ理解できないかもしれません。 そして、HAは酸のことです。 このブレンステッドローリーの考え方を受け入れなければ、アンモニアが塩基であることを説明付けられません。 一方BはAからプロトンを受け取っているので塩基です。 アンモニアと対になっている酸はなんでしょうか??? Q ルイス酸って厳密な定義はあるのでしょうか? 教科書などを見ると「電子対を受け取ることができる物質」とあります。 ちょっとイマイチしっくりこないのでどなたか説明できる方いらっしゃいますでしょうか。 今の私の考えだと以下のような疑問点がわいてきます。 間違ってるところや思い込みなどありましたらご指摘お願いします。 空の軌道を持っている物質はルイス酸だということは納得できます。 (ルイス塩基であることは納得いきます) これはOHのHが共有電子対を受け取るためだという理屈かなーと思うのですが、 でも例えばH20などのルイス塩基とはあまり反応しないですよね、、 「ルイス酸」というのは相手によって決まるものではないのですか? (それか反結合性軌道の話とか、、になったらきっと私はわからなくなりそうです) わかる方いらっしゃいましたらおねがいします。 ルイス酸って厳密な定義はあるのでしょうか? 教科書などを見ると「電子対を受け取ることができる物質」とあります。 ちょっとイマイチしっくりこないのでどなたか説明できる方いらっしゃいますでしょうか。 今の私の考えだと以下のような疑問点がわいてきます。 間違ってるところや思い込みなどありましたらご指摘お願いします。 空の軌道を持っている物質はルイス酸だということは納得できます。 そのほかに、たとえばHClもルイス酸の定義にあてはまりますが、ここでちょっと疑問です HClはH-Cl結合に... そういう意味では、EtOHの場合も含めて、stabilo555さんの見解は妥当だと思います。 「ルイス酸」というのは相手によって決まる」という見解も妥当だと思います。 付け加えるならば、相手云々ということだけではなく、本質的にルイス酸とルイス塩基の両方の性質を兼ね備えているものは多くあるということです。 つまり、孤立電子対を持てばルイス塩基になりうるということですので、酸素を含んでいればルイス酸になりうることになりますし、比較的酸性度の高いHを有していればブレンステッド酸になりうるわけですから、同様にルイス酸にもなりうるということになります。 したがって、ある物質がルイス酸になるかルイス塩基になるかということには、その相手や反応(あるいは相互作用)の形式も関わってきます。 もちろん、ルイス酸になりやすいものや、ルイス塩基になりやすいものというのはありますが、相手によって決まると考えるべきだと思います。 A ベストアンサー 【原核生物】 核膜が無い(構造的に区別出来る核を持たない)細胞(これを原核細胞という)から成る生物で、細菌類や藍藻類がこれに属する。 【真核生物】 核膜で囲まれた明確な核を持つ細胞(これを真核細胞という)から成り、細胞分裂の時に染色体構造を生じる生物。 細菌類・藍藻類以外の全ての生物。 【ウイルス】 濾過性病原体の総称。 独自のDNA又はRNAを持っているが、普通ウイルスは細胞内だけで増殖可能であり、ウイルス単独では増殖出来ない。 要は、核膜が有れば真核生物、無ければ原核生物という事になります。 ウイルスはそもそも細胞でなく、従って生物でもありませんので、原核生物・真核生物の何れにも属しません(一部の学者は生物だと主張しているそうですが、細胞説の定義に反する存在なので、まだまだ議論の余地は有る様です)。 当たっていません。 固体のNaOHが電離して水に溶けるのは、固体のNaClが電離して水に溶けるのと同じ理屈です。 Cl- aq はきわめて酸性の強い分子HCl aq の共役塩基ですから、きわめて塩基性の弱いイオンです。 ブレンステッドの酸・塩基の考え方では、きわめて弱い酸であって かつ きわめて弱い塩基である分子・イオンのことを中性の分子・イオンと呼びます。 上で見たように、Cl- aq は中性のイオンです。 一方、OH- aq は、両性分子H2Oの共役塩基です。 また、加水分解を起こさない金属イオンは、きわめて弱いブレンステッド酸であることも分かります。 酸解離定数を使うと、金属イオンの加水分解の起こりやすさについて、さらに詳しく議論することができます。 ブレンステッドの酸・塩基の考え方は、非水溶媒での反応に限らず、水溶液でも非常に有用な考え方です。 これらのイオンはプロトンのやり取りをしないので水溶液の液性には影響しない、だから中性である、と考えてもいいです。 この場合は、塩基はOH-、H2Oが酸です OH-の共役酸がH2Oで、H2Oの共役塩基はOH-。 いずれにしても、ブレンステッドの酸・塩基の考え方では、物質レベルではなく、分子・イオンのレベルで酸・塩基の区別をしますから、「NaOHは塩基」と考えるのではなく、NaOHという物質を構成しているイオンのOH-が塩基、と考えます。 あるいは、OH-というH2Oより強いブレンステッド塩基を含むため、NaOHはアレニウス塩基とみなせる、と考えてもいいです。 きわめて強い塩基なので、H2Oとも反応します。 HCl aq はきわめて強い酸であるために水中では安定に存在し得ない、というのと同じ意味で、NaOH aq はきわめて強い塩基なので水中では安定に存在し得ない、と考えてください。 当たっていません。 固体のNaOHが電離して水に溶けるのは、固体のNaClが電離して水に溶けるのと同じ理屈です。 NaClが水に溶けるときに「まずNaCl分子の形で...

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